五三短律句事始め

はじめに

半歩 半歩ずつ 前へ

 坐禅のあと、必ず一息半趺(いっそくはんぷ)の「経(きん)行(ひん)」(歩行禅)を行います。

 一息吐いて吸う間に半歩だけ前へ進むのです。半歩というのは、爪先から踵までの半分の歩幅のことです。これを右足左足と交互に繰り出します。動いているのかいないのかわからないほど、ゆっくりと歩くのです。  

 手は叉手(しゃしゅ)といって左手の親指を内にして握り、手の甲を外にみぞおちのあたりに軽く当て、右の手のひらでこれを覆います。上半身は坐禅とまったく同じで、足だけが動くともなく静かに前へ進むのです。

 人生もこんなふうに歩めたらどんなにかおだやかに過ごせることでしょう。けっしてどかどかと乱暴に歩いてはなりません。