経行のあと、線香を一本立てて、一点の火を見つめながら静かに読経します。
毎朝、『般若心経』から始めて、白隠禅師の『坐禅和讃』、道元禅師の『普勧坐禅儀』、『弁道話』、『現成公案(げんじょうこうあん)』の順でゆっくり唱えています。『般若心経』と『坐禅和讃』は暗唱していますが、あとのものは経を読んでいます。
一筋の白い煙がゆらぎながら立ち上ります。まわりにはかすかな線香の香りが立ち込めます。火は気づかないほどゆっくりと下り、読経が終わる頃には燃え尽きます。火は私の命か。自分の人生もかくの如しかと思い定めて今日の一日が始まります。
衣に線香の香りが薫習(くんじゅう)するように、読経によって自然と仏の教えが身に薫習します。
写経も、『般若心経』を千巻、『坐禅和讃』を五百巻奉納しましたが、今は中断しています。